8/25

昨年9月御神楽沢に入渓した際に滝壷で悠々と泳ぐ40cmクラスの岩魚、いまだに夢の中に出て来ると電話で語る「今年も行きたいが袖沢道路の山抜けかたずいたか?」「未だ手つかず」と答え電話を切った(8月上旬)その後(8月中頃)電話で御神楽沢は袖沢道路の5〜6時間の歩きはきついしアブの餌食、予定を変更し袖沢N沢に入渓と絞り込んだが一度も入渓したことも無いし入り口も、定かで無い、目印に成るような物が有るかとの問いに「ううーん赤と黄色の積雪ポールが以前立っていたが、今は無いかも?、、、

乗越沢から15分〜20分位で道路を小沢が横断しているからわかると思う」、、、電話での声は1年振りの袖沢紀行とあってトーンも上がりぎみ。当日(8/21日)朝4時半頃1便出発時東の空に怪し気な雲、予報では雨は無いはずだが?念の為パソコンで雨雲確認、雨雲は無く降水量0%、予定通りN沢釣行を決行、送迎バスで10分位で山抜け地点に到着、土砂が無い!!この先は?車を止め徒歩で確認、岩や木が道路に転がり進入は無理と判断し帰りの迎えの時間の打ち合わせをし帰宅。

午後3時TELが、出て見ると「岩森ですお迎えお願い」と迎えコール、トンネルの入り口で待つ二人の廻りに数百匹の目白アブの大軍、ドアを開け二人が乗り込む数秒の時間で50匹位侵入フロントガラスの廻りを飛び回り気が散って運転できない車を止めアブ退治をしてから車を走らせた、車中今日の釣果を聞いて見たら剥製サイズが1本、測定したら40cm。テンカラで此のサイズ御立派です。

※8月末頃から袖沢方面に送迎バスを出したいと思っています。詳しくはお電話下さい。
※限定7名様(宿泊者に限り)


超大型化する大鳥の岩魚の謎 文 NO3ドクター

 ここで大鳥のイワナに話をもどすと、エサ釣りの経験者は思い当るふしがあるのではなかろうか。

春先と晩夏、大鳥ダムに注ぐ大鳥沢の下流部や袖沢本流の南沢の前後で10〜15cm位のイワシに似た銀化したイワナが釣れることを。このタイプのイワナは袖沢の取水上流では殆んど見られず、ミノコクリや奥袖沢の沢イワナとは別物である。この銀化イワナはある時期パタリと釣れなくなるが、私の考えでは、この時期、彼らはダムに降下し、そこで放水口から排出されるワカサギやモエビを食べて急速に大型化するとみられる。何よりも放水口の30cmのイワナは頭が小さく、どことなく幼な顔を残しており、年令的にも3才程度とみられる。

一方、袖沢の支沢に棲む尺イワナでは頭部は大きく、雄の下顎は突出し、いかにも老錬のイメージが強く、5〜6才以上と推定される。大鳥ダムではこのようなプロポーションのイワナは少くとも50cmオーバーでないと見られない。ちなみに大鳥ダムの「直線」や「ブッシュ」でたまに針がかりする20cm位の小イワナもじっくり眺めると「沢イワナ」ではなく「銀化イワナ」である。

またこれらの銀化イワナを実験的に水槽で飼育すると急速に成長し、30cm位のものが45cmになるのに1年位しかかからないのも経験している。このような急成長は他産地のイワナでは例がなく、血統的なものと考えられる。「とんじろ」でもよく話題になるが、放水口付近で釣れるイワナは雌が多く、特に50cmオーバーのイワナは殆んど雌であり、雄は極めて少ない。

これは先の、アメマスの残留型に雄が多く、降海型に雌が多いという説と一致する。ちなみに「とんじろ」にある魚拓の75cmの雄は極めて稀少と考えられ、下顎は上顎に比べ著しく突出し、体高は高く、かつ、湖沼型で運動量が少ないためか、尾鰭は比較的小さいという特徴を如実に示している。

このような特異な形態的、生態的特徴を備えた奥只見のイワナであるが、近年は放流の影響があり、明らかに「地イワナ」でないと思われるものや、放流イワナと地イワナの交配が疑われるものが釣れることもある。ただ奥只見の自然の豊かさというべきか、この種のイワナの率はまだまだ低く、圧倒的に在来イワナが多いと思われる。

時には金粉をまぶしたような金イワナとでも呼びたい個体や、背面の唐草模様のはっきりした個体が釣れることもある。我々、釣り人はこの貴重なイワナの系統を維持し、なおかつ釣りを楽しみたいものと感じるが、最も効果的かつ数の上で有利なのは、先に記した大鳥沢や袖沢下流部の10〜15cmのスモルト化した稚魚のリリースであろう。

貴重なオニチョロや小フライに飛びつくこれらの稚魚を丁寧にリリースすることにより、数年後には50cmクラスの大イワナにまみえることができるかも知れない。屏風岩の雪渓を越えて、残雪の大鳥林道を往復するのも、マムシの恐怖を抑えてガレ場を降りるのも、そして、秋の早朝、水の冷たさに震えながら魚止めの滝で遡上イワナを狙うのも、全てこの水系の大イワナの可能性に魅せられた者のみが知るロマンといえよう。

おわり